リュートを手に取った吟遊詩人は、満月を背に、闇風で長い髪を揺らしながら歌いだした。
『希望の星の名はジルという。
魔界の王子は2人いる。
力強い瞳で魔界を収める未来を当たり前のように語るタナトスは兄。
心に深く深く刻まれた傷が癒えない心優しき弟サマエル。
万人の力を遥かに超える二人の心にポカリと開いた“孤独”という穴。
その存在に兄は気付かず高笑い。弟は気付きつつも、それを受け入れる。
寂しいかな寂しいかな…ああ、光が彼らを包む。
光りの名はジルと言う。魔界の王子達、光輝く宝石を、どう受け入れる受け入れる?』
楽器を置き、詩人は怪しくも美しい微笑みをアナタヘ返す。
―これから先は『紅龍の夢』にて語り尽くそう。−
流河 晶さん著 「紅龍の夢」CM
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